Diary日々の記録
km : cielo osculo
981108 日曜日
訓練62日目 快晴
昼前に起きて0号報告書の下書きを打ち込む。まがりなりにも税金で勉強させてもらって派遣されるのだから、任国の一般的な概観や、派遣要請に照らした現時点での活動計画、あるい志望動機や派遣後の現地の生活のあり方などについて、講座の内容も踏まえレポートを出して行かなくてはならない。派遣後は半年に1回のペースで報告書を提出する義務がある。しかし、それだけでいいのか?と言う気がするが。
広尾でK山さんと待ち合わせる。8月に会って以来。せっかく東京にいるんだし、1度くらい会っておきたかった。が、前日の仕事か、酒か、それがたたったとのことで来れなくなってしまった。広尾のカレー屋で、ひとりがつがつ食べる協力隊候補生の後ろ姿は、どう見えただろう?まあ、寝起きの「ごめんなさい」がかわいかったので許そう。
その後部屋へ戻って薄着で無意識のうちに午睡。これで風邪がひどくなった。油断。
夕刻から0号に取り組む。チリの情報がちょっと古くて、仕方ないからアメリカの国務省の資料なんかもネットで引いて書き込む。単にワープロ打じゃなあと思い、htmlでシンプルに書く。結局月曜の朝までかかってしまった。たかだかA4で7枚程度のものなのに。即席では、僕の力ではかなり歯抜けになってしまった。それでも自覚や準備出来ていない事項を発見させるだけの意味はあったから、よしとした。
6時前の空の朝焼けが妙に綺麗で、カメラを持って屋上へ上がる。空の青と雲のオレンジはほとんど補色の関係なのだけれど、柔らかな乳白色の無限のバラエティが、鮮やかな2色の間をとりもって、この朝焼けを少しもけばけばしくせず荘厳さを保たせている。
眼下の欅並木が、結構赤くなっているのに気がついた。チリのサンティアゴはもう夏で、30度を越えていると聞いている。
981107 土曜日
訓練61日目 曇りのち晴れ
語学を終えたらみんなで講堂に集まってバレーボール大会。風邪ひきを圧して1試合だけ出る。
その後はお決まりの飲み会へ。これは寝込んでいられないとばかり、参加する。楽しかった。
981106 金曜日
訓練60日目 曇り時々晴れ
東京は西の方の山へ登る。高尾山、城山。いわゆる遠足だ。
眠い、疲れた。
風邪引きが本格化したみたい。0号報告書を書きたいのになあ。
日曜日に人に会うので、ちょっと治しておきたいと思う。
それにしても、綺麗な空気を吸って、体を動かして、山の中でいられるのは幸せだ。
981105 木曜日
訓練59日目 曇り時々晴れ
今日も語学は昼まで。後は交通安全関係の講座を2つ。
ともかく、協力隊員にとって、交通事故は最も恐れるべき目前の危険だ。意外なくらい怪我や死亡が多い。他人の車に同乗したり、単に轢かれたりではあるが、日本とは事情が異なる。真剣に気をつけるべし。
次の月曜日に提出の0号報告書を作らなければ。赴任前の企画書みたいなものかな?時間が無いぞ、これは。
981104 水曜日
訓練58日目 曇り
午前中で語学を終えたら、午後から2回目の職種別情報収集日。この間も訪れた神田神保町へ。植物学のSさんと前回も一緒の水質検査のM君が一緒。両人ともボリビア派遣。本当は一人で来たかったのだけど、途中で別れたっていいのだし。
営団お茶の水から歩く。明治大学が妙に立派。高層の校舎があるのだが、これがへたくそこのうえない設計だった。
ひととおり古書店を廻った後、疲れたので程近い喫茶店に入る。ここが今日の一番の楽しみだったのだ、実は。「茶房 李白」という名の店は、主人の趣味で李朝の焼き物がそこここに置かれた、ひっそりと美しいお店。もう30年くらいも続いているという。平凡社の太陽の特集で、李朝のお店として以前紹介されていたのを、昔メモしていた。先客はスーツ姿の歳高い壮年2人。
簾を掛け、障子の小窓から白く優しい光を導く。塗り込めた土の壁の色と、深い茶色の床や垂木、指物の類いの、仄暗さを通り越したような、静かな闇の色。20Wの電球とガラス細工のセード。町中でこれ以上はないくらいの落ち着きを作りつつ、すべてがこじんまりして寄り添うようだ。
僕は焼き物を解さないが、聖人の日常の生活具はかくありしかと思えるような、さり気ない高貴さみたいなものを、李朝には感じる。
あろうことか、不覚にもここで写真を撮らなかった。結局ここで同行の彼等とは別れて、もう一度店を丹念に廻った。
協力隊の派遣前の段階で、どれほどの資料や参考図書を揃えるか、大変頭を痛める問題だ。派遣後であれば、事務局の負担でリクエストできるかも知れないものを、原物が届けられるまで待てないかも知れないのが恐くて、今購入するというのがホントのところ。
結局経済学の辞典と建築設計、及び管理の参考書、施工の参考書、それからユリイカの南米の作家特集をしたバックナンバー。それだけを買うに留まった。もう一度だけ収集には出られるから、それまで他に必要なものを選んでおくこと。食事後、その植物のSさんに伸びた髪を切ってもらう。お礼はワイン1本。彼女はドクターを中退しているが、同様に理髪師のなり損ないでもある。結果は、かわいく若くなった。(と言われる)
981103 火曜日
訓練57日目 快晴
夕べ点呼にも回らず寝てしまった。それで朝早く、同室のHさんのいびきで起されて、昨日付けの日記を書いた。
今日、日本は祝日。文化の日。われわれには文化は無いらしい。今日も課業は夕刻まで続く。
午後から栄養学。やっぱ、南米の食生活は肥満を呼ぶものらしい。
続いて龍谷大学の中村尚司教授が経済学の見地から「協力隊に望むこと」だったかな?そういう講座。不満を述べる候補生も結構いたようだが、あれでかなり噛み砕いて開発途上国の経済目標やら、達成の評価指標の考え方などをかいつまんで教えて下さっているのだと思う。まともに取り上げるには、僕らには荷が重い。が、ちゃんと講座をとって欲しいような内容。
夕食後ビールの買い出し。それから語学の自習をみんなで寄ってやる。会話を録音する。明日先生に添削してもらうために。
夜半を前に屋上に出る。作業療法士のS井さんの誘いで。今日は明日に満月をひかえた14番目の月。彼女はユーミンのファンらしい。「14番目の月」は、僕も歌える。彼女とは買い出しの酒屋でたまたま会った。同じチリ派遣の候補生だが、アフリカへ以前派遣されたキャリアを持っている数少ないベテラン。
お誘いに乗って月を見上げつつ、日記を書いている。僕にとって最高に風流な日記書きのひとときなのだけれど、何故か彼女はいませんよ。あらら。帰ったのか、まだ来ていないのか?もしも誰もいなくても、ひとりで見るつもりだったらしいからいいか。このPCはCDプレーヤーのつもりで持って来ていた。ひとりでみる月もまた良い。
BGMは、ビル・エバンス・トリオの「ムーン・ビームズ」
よにふれば物思ふとしもなけれども
月にいくたびながめしつらん後中書王 拾遺集
981102 月曜日
訓練56日目 曇りだったと思う
今日も楽しく語学のクラスを終える。
訓練の当初実施された総合テストの2回目と、保健のテストが行われた。
総合テストでは要するに協力隊の目的や、日本の国際協力事業の方針について、また関係の用語などの基本知識を問うものだ。保健は感染症の知識をはじめ、隊員の実務をつとめるための、最低限の知識について。更新がその日のうちに出来ないときも、なんとか追い付いて行こうと数日後に思い返している。ええと、昨日の日記は今日書いている。でも実はこれも次の日書いている。ああ。
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