Diary
日々の記録
 
 
 
 
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980822 土曜日
ピーカンでは 無い
 

 夕刻より車ですぐのところにある料理屋へ行き、蟹やふぐを食べる。妹がめでたく就職試験をパスして内定をとったので、久しぶりに家族で食事。お祝い。
 
 

km : a profile.
 

 更けて11時を過ぎた頃、新大阪駅近くのホテルでK山さんを拾う。
 昨晩電話があって大阪、神戸に出張で来ているから会えないでしょうか?とのこと。断わるものか。でも夕方から会議を終えたあとでは疲れているだろうに。この間僕が東京へ出たときは会えなかったから、半年ぶりの再会だ。とは言ってもそのまえには一度会ったことがあるだけ。旅先のクリスマスのローマで出会って、街を歩き、食事をした。それだけだが、なかなか出来過ぎたエピソードで気に入っている。

 少し食事もしたいし、実は明日も帰京して仕事だという。ドライブはあきらめて南港へ。ハイアットなら大丈夫かと思ったのに、バーしか開いてない。僕はドライのチンザノを、彼女は仕方なくナッツとギネス。

 彼女には前から見てもらいたかった作品やこのサイトを、買ったパワーブックで見てもらう。気障だけど、こうでもしないと発表の機会なんてないもの。おかげであれこれ話も聴けた。それに、彼女のことは無断でここへ書いてきたから、おわびもする。公開していると言うよりも、顔見知りの友人に話しているような、そんな程度のサイトだけど。

 東京出身の彼女は出版社に勤めている。女性ながら、と言っては今や失礼かも知れないけれど、でもたいした青雲の思いの持ち主、育て親だ。今日はそんな夢の一端や、おかれている環境や、あるいは思い切って踏み出すにも気になってくる年令のことなど、具体的にいろいろなことを聴けた。
 暗雲のうえから思いがけず差してくる日の光みたいに、ある日、ほとんど突然何かが動きだして、長い経過ののちに、はじめ想像することもできなかった喜びや苦しみや、そんなもの達を知ることになる。未来への期待の中で生きる時期を、これからも過ごしていくのなら、彼女には値うちのあるこれからの数年となりますように。

 いつでも何の力にもなれない僕だ。それにしてもこんなに短い時間では、聞いたことを咀嚼してやり取りすることもままならない。いまになって大切なトピックをなおざりにしてしまった、そんなことを沢山思い返すはめになっている。

 おくりとどけた新大阪のまちは、冷たく、しらじらしい明かりをつけて夜を過ごしている。またね、といったあとの後ろ姿も頼りなさ気に照らして、どこかで見た映画のシーンみたいだ。若いうちだったら、こんなのもなんだか似合いだ。

 
 

 
 

980821 金曜日
一応晴れ
 

 ノートパソコンをどうしようかと言っていたが、ついに昨日買った。中古で済ませたいところだったのに結局現行の新品を購入。Apple Macintosh power book G3 233 /13"。うー、高い!
 どうしても長期の通信と業務のコンテンツの作成手段を失いたくなければ、買い物はしないわけにもいかないと思っていた。それにしてもこんなに費用をさいてしまうと、なんだか金の使い道を過ったような気がしてくる。多分協力隊の業務ではこいつを使って図面を書いたりはせず、せいぜいがデータの整理くらいだろう。出力の環境やネットワークを期待できないからだ。それでも使いたいのはやはり通信機能に仕事上も頼りたいし、精神的な逃げ場を確保できるような気がするから。それとモノ作りの道具でもあるからか。落書きみたいなのしかやったことないけど。こうして考えると、準備にあたり、俺が最も金を掛けた部分というのは、赴任先の為にはあんまりなってないということだ。限りなく間接的にしか。

 新しい機械はとても頭のいい、グラマーなやつだ。俺にとって圧倒的なデザインではないけれど。そしてグラマラスな人の常で、とても重い。ワープロ専用機みたい。
 渡航用に買ったようなものだから、今使っているデスクトップ機と2台を並行して使うことは当面ない。だから基本的には今のマックのコピーでいいのだけど、そうは簡単にできない。とりあえず、Ethernetで接続して当座をしのぐためのコンテンツは移植したが、この接続にちょっと手間取る。本屋で立ち読みして勉強。また、ソフトなんて全部人から借りたので済ませていたから、インストールはなかなか面倒な作業になる。

 こうしてたかだかコンピューターひとつを使える状態にまでしていくというのは、ほとんど人間を促成栽培でもしている感覚だ。あるいは、もう少し印象を正確に言うとしたら、この2年から3年の間の俺自身の履歴をスクロールして確認しているかのような感じだ。いつも机の下でファンの音だけさせていたこの白い箱は、知らない間に俺のからだの、どこか一部を占めるようになっていた。そして、新入りの黒いグラマーな秘書は、今必死になって続きを務めていこうとして、ネットワークのケーブル越しに引き継ぎを受けているのだ。

 ちょっと昔よく会っていたUは、グラフィックデザイナーだったから、仕事で使うマックを本当に人間扱いしてた。だから昔の気分屋でのろまなマックの方に愛着を覚えるの、と言っていた。それは彼女にとってマックが子供だったようなもんだってことか。
 そのうちマックも、もっと賢くなれば恋人みたく思えるようになるだろう。それには頼りがいのあるところを見せないといけないし、若干はかわい気もなければ。俺としてはこのグラマーさんとは、すれ違いのない、いい関係を作っていきたいなあと考えている。それくらい俺だって学ぶのだ。

 それにしても、このパワーブック、凄く熱い。だいじょうぶか?こんなもんなのか?

 
・・・ほほう。
 



 
 

980818 火曜日晴れ時々くもり
 

 朝まで妹の就職面接用のポートフォリオ作りを手伝う。MACを使うならもう少し頑張ってあげればよかったかなあ。ファッションデザイナーか。繊維不況と言われて久しいのに、この全面的な不況下では就職戦線は大変だ。最近はついに現役勤労者達も危なくなって、就職難がどうこうという話題も、マスコミには登らなくなったような気がする。

 この年も、もう夏の盛りを過ぎようとしている。以前のように会社勤めはしていないし、今月からその仕事もいれないようにしたというのに、時の過ぎてゆく加速度は同じ。
 20歳の若者の時間感覚は10歳のこどもの2倍速くなり、30歳の青年の感覚は3倍というふうになっていく。生きてきた時間だけ感覚は鈍くなっていくんだ。誰かに聞いた言葉。
 僕は時間にルーズな人間だが、とても正確に時間の体験を語る言葉だなあと思っている。どう?

 
ホワイエ
 km : foyer at a dialogue. tube hall. hall. 1998
 
 何かを待っているふわふわした時間。今日は おしゃべりの前にホワイエで過ごしませんか?
 ・・・それでは椅子に触れて下さい。御案内しましょう。
 
目新しいものはありません
重いので、そのつもりで
 
 


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