980508
曇り

 京橋駅で学研都市線から京阪へ乗り換える。特急に運良く即乗り。三条までは寝る。
 昨晩打ちあわせたとおり、北山の集合住宅を修正する。結局市役所で5時まで過ごした。僕は一応フリーランスだから、とにかく要領よく進めないと損得ではなく、善悪として悪いことになると思う。きっちりがっちり物事を進めたかどうかが、こんなルーチンワークにとっては唯一の価値基準。

 とかく役人は義務だけで、熱意をもって仕事に取り組んでいないかのような気がちょっとしてたんだけど、この年末には遥かチリで当の役人になるということで、なんだか親近感を感じる。終業前の打ち合わせをしているところを見たが、なんだ、結構それなりに緊張感があるじゃないの、と至極当たり前なことだけど感心する。

 最近暑いからポロシャツだけで来たものの、雨が上がると寒くなる。関東なんかは暑かったらしいが。帰りには河原町から横手に入り、錦商店街を抜けてジュンク堂書店へ。錦の商店街は昔ながらの、でも京都らしくきれいな通りだ。こんなにええとこやったんか。
 本屋でスペイン語の本を買い、窓辺のカフェコーナーでタダ券のミルクティーを飲む。

 ロバート・キャパの「ちょっとピンボケ」を帰途の車中で読了。学生のころ、課題で彼の作品を鉛筆模写して以来、気になっていた本だった。好きな子に触れてみる事が、より深い関わりへの端緒となるように、僕はバルセロナの難民となった少女を描いて彼を知った。
 今白い額に納まっているその少女は、僕をいつも見つめている。見守ってくれていると言うか、監視されてるというか。この視線を感じるたび、自分を見つめる。
 キャプションに彼はこう書き込んでいる。 「傍らにいながらにして、その人の苦しみを記録することしかできないのは、時には辛いことである」
 今日再びペンタブレットで彼女をスケッチするが、キャパが捉えた眼差しは、相変わらず僕にはまだ理解できていない事がよく分かった。



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